が熱を出した。
新しい環境から来る疲れだろうと医者は言っていたけど・・・マジ辛そう。
学校を休んで看病しようと思ったけど
生憎今日からテスト週間。
休んで単位を落すわけにいかない。
「だいじょぶ。がっこ いっていいよ」
熱の所為か視点の定まらない瞳で見上げてくるを置いて
俺は学校に行った。
「あれ?佐助、は一緒ではないのか?」
「ああ・・・うん。少し熱出しちゃってね。今家で寝かせてる」
「!幼子を一人で置いてきたのか?!何かあったらどうする!?」
「そりゃあ俺様だって思ったけどが“行け”って言うし・・・俺だって出来る事なら帰りたいよ!」
くるしい
からだがあつい
でも
それいじょうに
サミシイ
どうしてかな。おねえといっしょだったときもひとりでおるすばんはしょっちゅうあった。
おねえはいそいでかえってきてくれたけど
あのときよりいまのほうが
サミシイ
いつもはひとりなんかさみしくないのに
いつもひとりでへいきだったのに
どうしてこんなにむねがきゅうってなるのかなあ?
どうして
なみだがでるのかなあ?
なんでだろ
いま
すごく
おにいやおねえにあいたい
PiPiPiPiPiPiPiPiPi
「うわ!?なんだ・・・?ってかすが?」
佐助は急いで通話ボタンを押すとかすがの声が勢い良く耳に飛び込んできた。
『佐助!は元気でやってるだろうな?泣かせたりしてないだろうな?』
「開口一番がそれ・・・?かすがもよっぽどのブラコンだねえ・・・。あー・・・ね、実は今熱出しちゃ『なんだと!?何度だ!?大丈夫なんだろうな!?』・・・落ち着いてよ」
声だけなのにかすがが慌てふためいているのが目に見えるようだ。
『で、今貴様は何処にいる?』
「今学校だけど『を一人にしているのか?!』仕方無いじゃん!テストなんだよ!終わったら即効で帰るって!!」
『・・・』
「あのさー・・・つかぬこと聞くけど、って感情表現が薄くない?」
『・・・そう育ってしまったからな。幼い頃から忍として通用するように』
「あんな小さい子にそれは『解っている!!だから・・・今回をきっかけに普通の子のようになればと思った』俺様達・・・が怒るとこや泣くところ見たこと無いんだよね」
少しは笑う。
けれど感情そのものを出す事は無い。
ほとんど無表情の方が多いくらいだ。
『感情を人前にさらけ出す事はしないぞ。お前達の前で泣いた事が無いだけで、泣かないわけじゃない』
「・・・・!!」
泣かないわけじゃない、ということは俺達には涙を見せてくれていないということ。
電源ボタンを押し通話終了。
佐助は携帯を握る手の力を強くした。
そして、なにかを決意したような顔で担当教員の方へ向かっていった。
「――っ先生!頼みがあるんだけど」
あついよ
くるしいよ
おねえ
おにい
・・・・・・・・あれ?
なにか
つめたいものがかおにあたった
きもちいい・・・・・
「、大丈夫?」
目を開けてみるとそこには佐助の笑顔があった。
「・・・さ、さす兄ぃ?なんで・・・」
「が心配だから帰ってきちゃった。お粥出来たけど食べれる?少しでも食べなきゃね」
「・・・うん・・・」
佐助はの体をゆっくりと支え起こしてやると手に持った椀からお粥を一口掬ってやった。
「はい、アーン」
「・・・あー・・・」
促されるままに粥を咀嚼する。
先ほどまでは何も食べる気はしなかったが今は簡単に喉を通っていく。
「色々デザート買って来たよ。どれがいい?ヨーグルトにプリンにゼリーに」
「・・・プリン、食べる・・・」
「ん、わかった」
「・・・さす兄ぃ、あのね、さっきまでくるしかったの」
「そんなに熱高かったのか・・・ごめ「ちがうの」え?」
「ここがね、ちくちくした。きゅーってなってどんどんくるしくなったの」
は胸の辺りをぎゅっと掴んだ。
「おねえやおにいにあいたくなった」
「…!!!」
佐助はの小さな体を抱き締めた。
あまり力をこめないように優しく。
「もう一人にしないから。ずっと傍にいるから」
「・・・ずっと?いっしょ?」
どうして気がつかなかったんだろう。
こんな小さな子が病気の時、一人で平気なわけが無い。
「うん。もう独りぼっちにはしないから。俺や幸村の旦那に政宗、元親や元就もいる。竹中先輩や慶次だっている」
「・・・ふえ・・・」
冷たい何かが佐助のTシャツを濡らす。
が初めて、佐助の前で泣いた。
「ありえねー・・・・」
元親は成績順位が貼りだしてある掲示板の前で呟いた。
「そんなに自分の順位が信じらんねえって?しょうがねえよこりゃ現実だから」
「そうじゃねえ!!俺が言ってんのは佐助だっつうの!!」
さりげなく自分のことをけなしてきた政宗に反論する。
「佐助?ああ・・・確かにな。噂になってるぜ。まったく無茶なことしやがる」
政宗の目線は二年生のテスト順位表。
それの第三位の位置に“猿飛佐助”の名前が。
「あいつ一時間で三教科のテストこなしやがったのに、なんでこんな好成績なのかねえ」
『先生、頼みがあるんだけど!俺残りのテストこの時間でやるから出来たら帰らせて!!』
「ま、これもあれを見れば納得っていうか・・・・」
ちらりと話題の中心人物を見れば幸村と一緒にと話している。
あの愛しい存在の為ならば、きっと彼はどんな事も出来るだろう。
僕らも同じ気持ちだから。