「うおおおおおおおお!!我熱く燃ゆる――――!!」

「Ha!Let‘party!!Ya−Ha−!!」






只今1年対2年のクラスでのサッカー試合
そこでは今、幸村のクラスと政宗のクラスが体育でサッカーの試合をしていた。


勝負事に熱くなる幸村、それに負けず嫌いの政宗。

この二チームの試合はかなり白熱していた。










「あちゃあー・・・またあの二人の勝負魂に火が点いちゃったよ・・・。やれやれ」

政宗と同じクラスの佐助はその勝負の行方をただ見守るだけだった。









「あーあ、熱くなっちゃってえ」




「あ、慶次じゃん。アンタはアレに参加しないのかい?」


「無理無理、着いて行けねえよ」







幸村と同じクラスの前田慶次。


家庭科担当のまつと、体育担当の利家の甥っ子である。












「でもさー勝負に熱くなるのは良いけどあの二人はもっと別の事に熱くなれねえのかなー」



いや、ある。の事に関しては殊更あいつ等は張り合う








と、思ったが佐助はそれを心の中だけに押しとどめた。



言ったら「って?」と聞かれるだろう。





ただでさえ最近は俺達よりも竹中先輩と過ごす時間の方が長いのに、これ以上人数を増やしたくない

と思ったからだ。











「そんなことより、慶次。いつも連れてる猿はどうしたんだ?置いてきたのか?」



話題を逸らそうと佐助は慶次がいつも連れている猿の事を言った。






「あー夢吉ねえ。なんか授業が始まる前にどっか行ってさーー。まあいつも帰ってくるから心配はしてないけど・・・」
「でも学校から出てたらやばくない?車とかにさ」

「まあ、これ終わったら昼休みだし捜してみるよ。お、決着つかなかったみたいだ」







慶次が指差す方向には結局授業が終わり時間切れと言う結末になってしまった二名。











「集合かかってるし、戻るか」
「そうだね」





















一方、は木の上にいた。



今日は半兵衛が欠席、しかも濃がいない為一人だった。

また蘭丸のクラスに行こうかと思えば蘭丸も今日は休み。








最初は空き時間の先生達に交代で見てもらっていた。


そして今の時間は上杉が見ていたのだが、がぼーっと外を見ていると何やら木の上でゴソゴソ動く影があった。
ふと気になりはこそっと抜け出してきた。











木の下からそれを見やると正体は小猿だった。

どうやら首に巻いている飾りが引っ掛かって降りれないらしい。





は持ち前の身軽さで易々と木に登った。

















「おりれないね」
「キキ」






簡単に猿を解放しただったが、今度は自分が降りられなくなってしまった。

普段なら姉のかすがに鍛えられているため容易く飛び降りるのだが、今回の木は高すぎた。











とりあえず小猿を肩に乗せ降りようと試みる。










「ん・・・もうちょい」




右足で何とか着地地点を探す。







しかしその着地した枝が細かったため、の体重で折れてしまった。









空中で不安定な体勢で落されてしまった為受身が取れない。


せめて小猿だけはと両腕に小猿を抱え込んで、は衝撃に備え目を閉じ歯を食いしばった。





















「あれ?」






「・・・・あれ、じゃねえだろ?あー吃驚した・・・」
















来たのは背骨を打つ鋭い衝撃ではなく、温かい感触だった。

目を開けてみるとそこには見知らぬ顔。











「危ねえぞ?たまたま夢吉捜してここに俺が来たから良かったものの・・・」


「ゆめきち?」

「キキィ!」



「おお!夢吉こんなとこにいたのか!?」


「きのうえにいた。おりられなくなってたよ」
「そっか〜〜お前が助けてくれたんだな!ありがとな!!」






男はを降ろして何処にも怪我が無いか確認した。









「俺は前田慶次!お前は?」

・・・えっと慶兄ぃ?」



「おう!そんでこっちが夢吉な!はなんで学校にいるんだ?」
「おねえがいまいないから。さす兄といっしょにきてるの」




「おねえ?さす兄?」






ソレは誰だ、と問おうとした瞬間。後ろから誰かの足音がした。









!こんな所にいた!!上杉先生から居なくなったって聞いて・・・マジ吃驚したんだよ」


「ごめんなさい・・・さす兄」


「え?!さす兄って猿飛か?!」
「え?なんで慶次と一緒なの?!」
















「へえ・・・そんなことが。危ないことしちゃ駄目だろ?」


「まあまあ、今回は大目にみてやってくれよ。そもそもは夢吉を助けようとしてくれたんだし」
「・・・」










佐助が後悔しているのはそっちよりむしろ慶次と知り合ってしまったことだ。
見ると、結構も心許しているし。








『ああ・・・また増えた・・・』





佐助は思い切り脱力した。






こうしての兄貴分は増えていくのだ。