「…困った」
「どうしたんだ?珍しく深刻そうな顔して」
溜息をついていると天の青龍の有川将臣が声を掛けてきた。
「珍しとは失礼やで、まーくん。今オレは真剣に悩んどんのや」
「何をだよ?」
「なあ…やっぱ、望美には純白のウエディングドレスやろか?それとも白無垢のがええかな?」
ずるっ(←将臣がこけた音)
「そんなことでいちいち悩むな!」
「そないなことってなんやの!?オレにとっちゃ大事やで!?大事な妹の晴れ舞台やんか」
めっちゃ重要やで?!可愛い妹やねんから!!
「…はあ。…で?なんでいきなりそんなこと考え出したんだよ?」
「…だって、望美の周りにはぎょうさん男がおるんやで?いつそないなことになるかわからへんやん」
八葉やろ?そいから平家の皆。下手したらまだおるかもしれへんなあ。
「…考えすぎだって…(つーかアイツはお前にしか興味無いんだけどな)」
「…でもこっちにおるんやったら白無垢しかないな。絶対ごっつう可愛いやろな〜」
「お前は望美の結婚とかには賛成なのか?」
なんや、その意外だなと言わんばかりな顔は。
そりゃあオレは望美めっちゃ好きやし、他の男にやりたないけど。
「基本的には反対はせえへんけど…ろくでもない男やったら…産まれたこと後悔させたるなあ…」
『!!目が本気だよ!?』
「何楽しそうに話してるんだ?」
オレ達の声を聞きつけて、地の青龍源九郎義経も出てきた。
「九郎か。ええとこ来たな。九郎は望美のことどないに思うとる?」
「?一生懸命だが少し落ち着きが足りない奴だな」
真面目な顔して言いよった…。
んー…なんかやっぱ九郎やなぁ…
「…あかん、人選間違うたな。まあええわ。話変えよか」
「?一体何なんだ?将臣」
「気にするな…」
「九郎は結婚とかせえへんの?」
「なっ…!?何をそのような…。大体なんで婚儀の話が出て来るんだ!?」
あらら、九郎真っ赤やで〜?
歴史じゃあ静御前とええ仲やって話なのに、こっちの義経は奥手やなあ。
「いやあ、九郎ええ男やし、そないな話多いんちゃうん?」
「そんなわけないだろう!…まったく、なんのつもりなんだ?」
「この時代やったら、政略結婚とか多そうやな。そんなさせられる前に、ちゃんと大事な人見つけなあかんよ?」
ほんまに好きな人とせな、幸せにはなれへんよと言うと九郎は真面目な顔になって
「そんな心配は無用だ!…大体俺には…」
「?」
「、譲が呼んでるぜ」
「わかったー。ほな、ちょっとオレ行って来るわ」
先程まで会話から外れていた将臣が口を開いた。
「……」
「抜け駆けは禁止だぞ、九郎?」
九郎を一睨みし、釘を刺しにかかる将臣。
「…将臣…」
「に少し褒められたからって調子のんなよ?」
「だ、誰が調子になど乗るか!」
再度顔が真っ赤になってしまった九郎。
思い返せば自分が今、告白をしようとしたことに気がついたらしい。
「ユズー呼んだー?」
「え?俺は呼んでませんよ?」
「あれ?まーくんが呼んでた言うたんやけど…オレ聞き間違うた?」
『…また兄さん俺を利用したな…』
ユズはハアっと溜息をついたけど、オレは何が何だかわからへん。
「そや、じゃあユズに聞いてみよ。なあユズはどんな結婚したい?」
「!!いきなりなんですか!?兄さん!お、俺はまだけけけ、結婚なんて…!」
「そないに赤くならんでもええと思うけどなあー。大体どもりすぎやで」
「なんでそんなこと考え出したんですか!?」
「実はなー…」
「…また突飛なことを考えますね…兄さんは」
「なんやねんー。めっちゃ重要やで?あんな可愛い妹の晴れ舞台、兄としてはいいもんにしてやりたい思うんが当然やん」
「だからそれが突飛なんです。いきなり結婚とか普通思いませんよ」
「そうかなー?でもオレこっち長いことおるけど結婚とか年関係ないんで?実際オレなんかめっちゃ年上とか、年下に求婚されたことあるもん」
「「「「は!?」」」」
「うお!なんや!?ってまーくん、ヒノエ、九郎、弁慶何大声出して…」
いつの間におったんお前ら。
「!お前求婚されたのか!?」>ヒノエ
「相手は何処の馬の骨です!?」>弁慶
「まさか受けたりしてねえだろうな?」>将臣
「だから俺に婚儀の話をしたのか?」>九郎
「やっかましー!オレは聖徳太子やないで!そないに一遍に答えられるか!」
オレに喋らせずギャーギャー騒いでいる四人にオレはマジギレした。
「オレが求婚されたんはー…いつやっけ?あ、先代の八葉と先々代の八葉の時や。でもそん時はまだ望美に会わなあかんから断ったんやっけ」
オレは四神の使い、というポジションにある。
それ故、初代の神子や二代目の神子の時代にも行った事がある。
「ま…まさか、八葉じゃないでしょうね…?その求婚相手というのは」
「せいかーい。そいつは三十過ぎやってんけど、何回かは十六、七の奴にもされたな」
「「「「……」」」」
「くん?君としては元の世界の衣装と白無垢どちらがよろしいんですか?」
「オレ?んー…望美やったらドレスやけど、オレ的に好きなんは白無垢かな」
でもどっちも似合うだろうねえ。
清楚な白無垢に華やかなウエディングドレス…。
「そうですか。じゃあ是非僕との婚儀には着てくださいね」
「え?」
なんで、オレに言うん??
「何言ってんだい?叔父上殿。ねえ、お前は最高の絹で作った最高の着物を着て熊野で俺の花嫁になりなよ」
オレが嫁??
「お前こそ何言ってんだ?ヒノエ。、そんなの選ばなくても俺が両方着させてやるぜ」
いや、一生に一度やからってそんな欲張りなことせんでも…ってせやからなんでオレやねん!!!
「ま、将臣!何を言っている!そ、それにには白無垢の方が似合っているに決まっているだろう!!」
いや、だから…おいおいおい
「……???今これどーいう状況なん?」
「…兄さん。頑張ってください(俺にはこの四人は止められません)」
「ユズ〜?何なん?これ一体どーゆー状況???意味わからへん」
「ちょっと皆!何勝手な事言ってるの!?」
「うわ!望美!」
「い、いやこ、これはだなあ…」
「お兄ちゃんには白いタキシードが似合うに決まってるでしょ!!」
「「「「……」」」」
絶句する四人。
「それで隣には白いドレスの私がいてね、白い教会で二人きりで式を挙げるの
vv
」
「ってお前との結婚式かよ…」
がっくりと力が抜けた四人だった。
〜余談〜
「まあ望美が欲しくばまずはオレを倒してからにしてもらうで!!さあかかって来ぃ四人とも!!」
「あれ?なんでそういうことになるのかな?」
「ククク…面白いじゃないか…。だが俺が勝ったらお前を貰うぞ…」
「それを聞いては黙っていられませんね」
「知盛!?それに重衡!!?なんでお前らここにいるんだ!?」
「はいは〜い。それ俺も参戦しちゃおっかな〜〜」
「わ…私も…」
「お前の望むままに…」
「あらあら、望美の兄上は大人気ね。私も参戦しようかしら」
「駄目だよ、いくら朔でもお兄ちゃんはあげないから」