「お願いします!真田副部長!!」


「駄目だ。レギュラーは氷帝に練習試合に行くと言っただろう」

「だから…氷帝の方をこっちにこさせるとか…」
「さっきから聞いていれば赤也、なんなんだ?お前は氷帝に行きたくないと言っているように聞こえるぞ」
「う…そ、それは…」





今日の赤也の様子はおかしい。
今日は氷帝に行って練習試合をする予定なのだがそれに赤也は行きたくないと言う。






「いや俺だって練習試合は行きたいですよ!?…でも氷帝は…あそこには…」

「?最後が聞こえんぞ。何だって?」
「だから――」








「なんでそんなに嫌がってんだよ赤也」
「何か問題でもあるのですか?」

そこにジャッカルと柳生が混ざった。







「…い、いや…問題っていうか…」



「はっきりしろ。何が不満なんだ?」
じれったい赤也にいい加減真田が切れた。








「あそこには…俺の弟が通ってまして…」


「ほう?赤也には弟がいたのか。そのデータは無かったな」
「参謀も知らんとはな。で?その弟に会いたくないけぇ行かんのか?」


「そうじゃないっすよ!!…ただアイツ俺のテニスのプレイスタイルが嫌いなんです…」
「あー…お前すぐ赤目になるもんなぁ。そこを見られたら嫌われるってか?」
「……ッス」







「しかし赤也、今日は土曜日だけど、その弟君はテニス部なのかい?」

幸村の言葉に赤也は表情を一変させる。



「……そうか!他の奴は休みですもんね!そっか!」
切り替えの早いというか…何故そこに気がつかないのか…。呆れる一同だった。



















−氷帝−





「それでは今日はよろしく頼む」

「ああ、まあわざわざここまで来てご苦労だったが…勝つのは氷帝だ」

跡部と幸村が固い握手を交わす。







「それでは試合を始めようか」







第一試合は切原VS日吉。



「…へえアンタが俺の相手?出来れば跡部さんが良かったな〜」
「フン、そんな口は俺に勝ってから言うんだな」
「…アンタ潰すよ?」



「お、赤也のスイッチが入ったぜぃ」
「またあの赤目モードになるんやのう」











試合は3−3まで進んだ。


ここまで来て、赤也のプレイスタイルが赤目モードに切り替わった。




「!!」



「日吉!」

赤也のサーブが日吉の足に当たった。



しかし試合はそのまま続く。












「…流石にまずいな」

「日吉の足も限界ちゃうん?」

「でも止めろって言われて止める奴じゃないC〜」















「なかなかやるね。でもそろそろアンタ…潰す!!」




「若先輩!!!!」














さっきまでそこには無かった声が入った。








「……!!!!」
赤也の動きが止まった。

そしてギギギっと首を動かしてコートの外を見た。







「…大丈夫ですか!?部長、なんで止めないんですか!?」


「止めたって聞く奴じゃねえだろ。お前どこに行ってたんだ?」
「洗濯物が溜まってたから…。ってそうじゃなくて!相手はあいつで……兄貴?









「兄貴!?」



立海と氷帝の両方から声が上がった。








「…おまっ…なんでここに…」


がテニス部のマネだからだC〜。あ、そっか。の苗字切原だったっけ?」
「似てないから気づかへんかったわ。の髪の毛は真っ直ぐサラサラストレートで可愛えし」





そう、外見は全く似てないのだ。

何しろ赤也と違っての髪の毛はストレートで茶髪。
身長もあまり高くなく、岳人より小さい。


例えるなら赤也は黒豹、は黒猫と言った感じか。







「…これ、兄貴がやったの?」

凄く笑顔なのだが、声が凄く恐い。




「…い、いや、あのな……」










「赤也の目が戻ってるよ。そんなに君の存在は大きいんだね」

「うわー似てねー…。つーか可愛いくねー?」





「成程…それで赤也は来たくなかったんじゃのぅ…」





「どういうことだ?仁王」



「俺達に弟を見せたくなかったんじゃろ。まあそれも全部失敗じゃったが」












「オレ言ったよね…?そのプレイスタイルやめないと…」

「まままま待て!!落ち着け!!」



「兄貴の事…嫌いになるって…」




目を開けたは、赤也のように真っ赤な目をしていた。








「!君が切れちゃいました!!」


「やべえ!おいジロー!早くを止めろ!!」

「りょうか〜い」









「覚悟はいいかな?」


「ゆ、、俺が悪かった!もうならないよう気をつけるから!!」



「問答…むよ「落ち着いて〜」



そこにジローが参戦。ジローはを背中から抱きしめた。











「!あ、芥川さん!アンタ何してんすか!!」

「…芥川先輩…。オレは落ち着いてますよ…」


「だめ〜。ほらほら赤目になってるC〜」





「…ハア、人のこと言えないな」

深呼吸するとの目が元に戻った。













「試合の邪魔をしてスイマセン。でしゃばった真似しました」

は立海の前に行き、頭を下げた。
そして氷帝でも同じ様に。







「いいよ。別に。誰か止めなきゃいけなかったしね」

「それにしても、お前が赤也の弟かよ…似てないにも程があるだろぃ」
「そうですね。でも中身はやっぱり兄弟ですから。オレも切れると赤目になっちゃいますし。幸村さん、丸井さん」

「あれ?俺達を知ってるんだ」
「はい。王者立海ですし。強い人は好きですから」



は眩しいほどの笑顔で言った。




「……君。立海に転校してこない?」
「なんなら赤也と交換てのはどうじゃ?」
「俺賛成!」



「ひでえ!!先輩達ひでえ!!」










「何言ってんだよ。俺様のに手出すんじゃねえよ」
「いつから跡部のになったんや。は俺のや」

そこで跡部と忍足がに近づく。






「跡部さん!忍足さん!に近づかないでください!!」




赤也はを跡部たちから離した。







「まだオレは怒ってるんだけど?」




にっこりと笑うに怯え、赤也は手を離してしまう。

そこに鳳と宍戸が入った。






君、日吉の手当てお願いしてもいい?勿論手伝うから」
「そうだな。さっさと次の試合始めないと日が暮れちまうぜ」




「あ、そうでした。若先輩、傷診せてください」

「別にこれくらい…なんでもない」
「オレ相手に遠慮しないでください。ほら早く」
「遠慮じゃない…」


そう言いながらも大人しく足を出す日吉。








「なんか…あの二人…ただならぬ空気が漂ってない?」


丸井の疑問に向日が答えた。

「あ、それはあの二人が付き合ってるからダゼ?」





「「「「「はあ!?」」」」」


向日の言葉に立海も氷帝も驚きを隠せなかった。





!俺に内緒でなんでそんなキノコと付き合ってんだよ!!」


「失礼なこと言ってんじゃねえ!!いくら兄貴でも許せる事と許せねえ事があんだぞ!」

「聞いてねーぞ!そんな話!」


「うっそー?俺すぐ気づいたけどなあ。なんでもの方から告ったらしいけど」

「マジかいな!!なんで日吉やねん…」










「ぜってーーー認めねえ!!!!」