「おやおや、どうしたらこんなことが出来るんでしょうね」

「…!いつの間に入ってきたの?」

「なんだか叫び声が聞こえたので」














それだけ想ってる












「いやあそれにしても…貴女料理はそんなに苦手じゃなかったような気がしますが…?」







弁慶の目の前には黒い炭の塊……にしか見えない、本当はチーズケーキになるはずだったもの。









「ええ…失敗しましたよ!!悪かったですね!」

「いえ別に悪くないですよ?ただ、可愛いなと思って」



「っへ?」





「声が裏返ってますよ。女性が一つの事に向かって頑張る姿はとても可愛らしいです。貴女なら…尚更ね」


「!!!」


はこれ以上無いくらい顔を真っ赤にし、弁慶を置いてキッチンを出て行った。















元々、何故が菓子作りをしているかと言うと…
















きっかけは友人の望美の一言だった。
























「え?誕生日…なの?弁慶さん」




「あれ?は知らなかったんだっけ?まあでも向こうは誕生日を祝う習慣って無いし」


「良くない!!!だって……私達…一応…
付き合って……るんだし…





「じゃあ何かあげるの?」







それがいきなりすぎて思いつかないのだ。







ブランド物…なんかより弁慶は機能性だろう。


本…大体自分で集めてるだろうから今更…。





とかなんとか言う以前に今は金銭面に少々問題がある。








「どうしよう……」

『そんな悩む必要ない気がするけどなぁ。弁慶さんが欲しいのはだと思うけど…』

と思ったが望美はあえて口にしない。










本人になんて聞けるわけが無い。

ただでさえ、誕生日を知らなかったのだ。












「私に出来ることで…あまりお金がかからない方法って言ったら……あ!」








そして、現状に到ったのだ。






















「はー…材料買いなおしだ…。なんで今日に限って失敗してんだろ。いつもは上手くいくのに…」














力無く、商店街を歩いているとふと目に留まったものがあった。














「うわー…綺麗…」







それは真っ白なウエディングドレスだった。



シンプルなデザインを基調とし、胸元にワンポイントの白いバラが付いている。

ドレスの裾部分にはキラキラと光るラインストーンが散りばめられ、ベールも白い花で飾られていての好みど真ん中。






「いいなあ…」





脳内に浮かぶは教会でコレを着ている自分の姿。








「隣に…弁慶さん…立ってくれるかな…」













ああ、アナタを想うと



嬉しさと苦しさが襲ってくる












「さてと、早く買い物しなきゃ!もうチーズケーキは止めよ!別の別の!」






足早にショーウィンドの前から遠ざかった。

























「…ただいま…」






帰ってみると静かな家の中。

靴も無い、ということは弁慶は今出かけていると言う事だ。







「チャンス…!!」





は急いでケーキ作りを進めることにした。



















「…出来たぁ…」




格闘すること一時間弱。


目の前には可愛らしいフルーツケーキ。







「甘さも控えめだし…一応万人受けすると思うんだけど…」








出来上がっておいて不安が襲ってくる。







重い、と思われたらどうしようとか
口に合わなかったら、とか










「…弁慶さん…喜んでくれるといいなあ…」
























「嬉しくないわけがないじゃないですか」

「!?」








後ろから抱き締められは驚いたが、よく知った香りと声でそれが弁慶だと判るとホッとする。



が、反面恥かしさが募った。





「い、いいいいいつからいたの??!」

「ちょうどケーキが出来た辺りですかね。一生懸命だったので…これは僕に、ですか?」



「…ごめんなさい。私…弁慶さんの誕生日知らなくて…。急だったし…でこんなもんになっちゃった」




段々と語尾が小さくなっていく
申し訳の無さから弁慶の顔が見れない。



「だから他に何か出来ることあったら言ってね?出来る事ならなんでもするから」



顔を伏せたまま話す




弁慶は優しくの顔に触れた。







「僕の為に一生懸命になってくれたんでしょう?これ以上の贈り物はありませんよ」






その言葉でが顔を上げて最初に見えたのは照れたように笑う弁慶がいた。

なんだか笑いがこみ上げてきてしまった。










「なんか、新鮮。弁慶さんのこんな反応」


「僕も人間ですからね。…あ、そうだ。もう一つ欲しいものがあるんですが」

「何?」





優しくの手に触れ、そこに口付ける弁慶。




「え?」



そしての左手薬指に小さな石の付いたシルバーリングをはめた。









「僕ももういい歳ですからね。可愛い奥さんが欲しいんです」


「…っ!え…?あ…」























「僕の誕生日に、貴女のこれからの時間を全てください」





























あまーーーーーーい!!!あますぎるよぉおざわさーぁん!!

ごめんよーこんな駄文でぇぇぇ



水島ユキサ様のみお持ち帰りOKでーっす!!