目の前には可愛い子猫達。うんそれはいいよね。


だけどさあ



だけどさあ……









「どうかいたしましたか?具合でも悪いのですか?」
「おい何へばってんだよ。それよりお前でかくなったか?」
「獄寺ー多分俺達が小さくなったんだと思うぞー」
「…原因…誰かな?」
「クフフ、これまた面白そうなことになってますね」
「うおおおお!!これは新たな修行方法か!?」









目の前で喋っている子猫達にはと〜っても見覚えがあったりする。



















いりませんか?
















「ボ〜ス〜…?これは一体どゆことかなあ?」

「俺も知らないんだよぉ!朝起きたら皆こんな事になっちゃってるんだもん!!」


朝からボスこと、ボンゴレファミリー十代目・沢田綱吉に叩き起こされ不機嫌絶頂だったけど広間に行ったら子猫が沢山いるじゃない?
すっごく嬉しかったわ、そこだけは。





でも、ボスの表情が暗いのといつも喧しい男達がいないから変だとは思ったけど…。











何故か皆、猫になってる。








あ、でもよくある猫耳が生えたってやつじゃないよ?

姿形、そのまんま猫。











「驚いたか?てめーら」
「「リボーン!!」」



リボーンの仕業…ってことね。




「ボンゴレが独自に開発した“獣化薬”をこいつらに飲ませてみた。これは敵を欺いたり、獣の力を応用したりするのに使うんだが…」




いかんせんまだ開発途中で猫、しかもハルが拾ってきた子猫のデータしか無かったので皆この姿になってしまった。




「まあ長くても今夜までには戻る。個体差はあるがな」
「今襲撃されたらうちひとたまりも無いんじゃない?」
「そこはボスであるツナと秘書のがなんとかしろ」
「「またかよ!!!」」







あ、遅れたがあたしはボスこと沢田綱吉…この言い方めんどくさ。
まあ兎に角ツナの秘書なんてものをやっている。

元々はキャッバローネに入る予定だったんだけどね、ディーノからツナを支えてやれって言われたし面白そうだったからま、いっかって。
























原因であるリボーンはさっさといなくなってしまい、途方に暮れるツナとあたし。






「しかしまた…どれが誰だか一目で判るってのが凄いわ」




気性の荒いアメリカンショートヘアは…隼人。
なんか一番猫として馴染んでる三毛猫は…武。
猫の姿でボクシング打ち込もうとしてるキジトラが…了平。
すましてるけど猫になっても不思議と変わった感じが無い黒猫は…恭弥。
オッドアイのペルシャ猫は笑い方で一目瞭然…骸。
そんで一番冷静にしてるロシアンブルーが…バジルなのだろう。





「すっごい…可愛い。すっごい天国………でもこれ…全部あいつらなのよね」
「ちょっと、混乱のあまり変なこと言ってる!!皆も少しは驚くとかしてよ」






「十代目…いつの間にそんなに大きく立派になられて…」
『獄寺くんまた自分が小さくなってるって気づいてないーー!!』













しかしこれは本当に問題だ。

幹部が全員力の弱い子猫だとばれたらすぐにでも抗争が始まってしまうかもしれない。
なんとかこの事実は隠さなくてはと、綱吉とは団結する。




「兎に角、あんた等あたし達以外の前では猫らしくしててちょうだい!」
「つまりませんね、折角二度とない機会なのに」
「捕まって三味線の材料にされても助けないよ」
「……皆さん善処しましょうか」















今日はもう一日中引き篭もり決定だ。

猫達を全て一箇所(ツナの部屋)にまとめ、あたしとツナで面倒を見ることにした。



















「……」
「あ、あの…殿?」






ピコピコと動く尻尾に可愛い耳。
これが元人間と解ってはいる、解ってるんだけど……。





「お願い!!バジル、ちょお〜っとで良いから触らせて?」
「…は、はあ…」
「やった!じゃあ失礼しま〜す。うわ可愛い〜
vv




ひょいと小さな体を抱き上げると柔らかい体と子猫のくすぐったい毛が気持ちいい。
ああ幸せ……。





「お、いいな〜バジル。、俺も触ってみねえか?」
「何言ってんだ馬鹿が。こんな姿じゃあ恥かしくて生きてけねえよ」
「とか言いながら君もさっき沢田に喉撫でられてゴロゴロ言ってたよね」
「僕の方が毛並みはいいですよ、さん」
「うむ!猫の姿も動き易くていいものだな!」





今だけはこいつらが人間ってことは忘れよう…。
そう考えなきゃ今猫ハーレムだもの。






子猫と戯れていると次第に皆眠りに落ちて行き、それを見ているとあたしもうとうとしだす。

「…皆気持ち良さそう…。あたしまで眠たくなっちゃう…」
「確かに…ふわぁ〜…今日は特に陽当たりが丁度良いし…」


ツナの声が聞こえなくなった様子からアイツも寝てしまったらしい。
あたしも襲ってくる睡魔には勝てなかった。



















自分以外の者が寝てしまって、起きているのはロシアンブルーの子猫が一匹。


「…みなさん気持ち良さそうに眠ってらっしゃいますね」


そっと眠っているの横に行き、寝顔をじっと見つめる。



「拙者などより…殿の方が何倍も可愛らしいです」



頬に軽いキスをして、自分もまた眠る。



























「…んっ…」



しばらくして、自分の周りが窮屈なことに気がつき目が覚めた。



「うわ…外暗いし。どんだけ寝てた…」




目を開け眼前にはバジルのアップ。
咄嗟に大声を出しそうになったが気持ち良さそうに寝ているのでそれはなんとか押しとどめた。



『…嘘、皆元に戻ってる…』



寝る前に子猫をはべらせていた所為で自分の周りはえらいことになっていた。
前にはバジル、後ろには武に乗っかられた隼人が魘されている。
頭らへんには恭弥、足元には骸、そしてベッド下には了平が大の字になっていた。



『ベッド大きくて良かった…』



一応ここはボンゴレ十代目の部屋なので、勿論ベッドはキングサイズ。
六人が寝転んでいても若干の余裕はあるのだ。





ツナはソファーに横たわって眠っていた。
部屋の主なのにちょっと申し訳ない、と内心謝りつつ皆を起こさぬようバルコニーに出た。


















「うわ、やっぱ日が落ちると少し肌寒いわ…」

縮こまって眠っていた為体が少々固くなってしまった。
伸ばそうとすると冷たい風に体が震える。











「春先とは言え、まだ夜は寒いですよ」













声と同時に自分の肩に上着がかけられる。
驚いて振り向けばそこにはバジルの姿があった。




「あ、起きたんだ。ありがと」
「いえ。まだ皆さんは眠ってらっしゃいますが、もう直に目が覚めますよ」
「今日は疲れたんだろうね、あの恭弥や骸までぐっすりだもん」
「慣れぬ体とは言え…十代目と殿にはご迷惑をかけました」
「全然、むしろ楽しかったよ。バジル可愛かったし。また猫になったら抱っこさせてね
vv




最後の言葉に複雑そうな顔をバジルは浮かべ、次の瞬間の腕を引いた。




「わっ!」


突然のことに対応が遅れたは大人しくバジルの胸に飛び込む形になった。







「…拙者としては…抱かれるよりこうして殿を抱き締めて差し上げたいです」
「…へっ…?」
「猫では貴方を包むことが出来ません故…出来ればこの次は無い方が嬉しいです」
「…そ、そう…なの…」




急に大胆になったバジルにどう反応を返せばいいか解らなくなったの顔は真っ赤に染まり、視線を合わせることも出来なかった。

そんなの額に軽いキスをして、もう一度バジルは







「拙者より殿の方が何倍も可愛らしいです」






優しい笑顔付きの甘い言葉を囁いた。














ユキサ様へ
バジル夢とか初めてや〜〜〜