さん!!」
「おお〜詩紋ようやく会えたなあ。なんやさっきの兄さんも此処におらはったんや」
「成程連れ合いとは詩紋のことだったのか」
「そや、しかし世間って狭いな〜天真」
「ああ、狭くて助かったぜ」







天真が連れて帰った人物は来るなり詩紋と泰明を見つけ和やかに会話を交わす。
他の八葉やあかねがその様子を見ていると視線に気づいたが会話を中断させる。












「あ、皆さん挨拶が遅れてすんません。オレ、 いいます。…で、オレになんか用で?」

「わたし、元宮あかねって言います。あ、あの…さんってこの世界の人…じゃないんですよね?」
「あかねちゃんね。そや、オレ気ぃついたら山で寝ててん。服もいつの間にか変わっててな」




彼が着ているのは黒一色で染められた狩衣。
でも質が悪いわけではなくかなり上等な布で出来ている。









「失礼致します、わたくし星の一族の藤と申します。様は…もしかして守人様ではございませんか?」

「守人???なんやそれ?初めて聞いたで」
「でも貴方様からはとてつもない神気を感じますわ」
「ふーん。じゃあ守人なんかなあ」





なんとも軽い返事を返すに全員脱力した。




「おい、。お前少しは疑問に思うとか否定する、とかねえのかよ!?」
「わからんもん否定しようがないでぇ。ほんまにオレが守人かもしれんし、取り敢えずは守人がなんなんか教えてもらわな」
「……まあ、それも一理あるけどよ…」




確かに否定する根拠があるわけじゃないし、疑問に思うと言っても何も知らないのだ。




「そうですわね…簡単に説明いたしますと…」




藤姫による解り易い説明をは頷きながら聞き、話が終わると同時に質問した。









「じゃあ手っ取り早くオレが守人かどうか判る証拠みたいなもんって無いん?」









のその言葉に全員が藤姫を見た。
確かにその証拠があればこうしてごちゃごちゃ考える必要は無い。





しかし藤姫の表情は暗かった。






「申し訳ありません…。わたくしも文献で守人様の存在をようやく知れた程度ですから…」



本当に申し訳無さそうな表情で言われればそれ以上何か言うことも出来ない。
だがこのままではが守人かどうかはっきりと定められない。




















「…あの、私達に付いている宝玉は見えますでしょうか?」












ぽつりと呟いたのは永泉だった。
その言葉に全員が今度はを見た。











「宝玉…って天真の腕とか詩紋の手の甲についとるあれか?」







はきょとんとして答えたが、それは藤姫の表情を明るくさせるのには十分だった。















「じゃあさんは守人で間違いないんだね!永泉さん、ありがとう!!」
「そ、そんな…私は思ったことを言ったまでで…」
「でもあんさんのお陰なんは間違いないでぇ。おおきに」




あかねとの両方からお礼を言われ、顔を赤くし俯く永泉。
少々天真の視線がきつくなったのは気のせいだろう。














「ほな、他の皆さんも自己紹介してんか?」








は部屋の隅に控えている頼久を見た。


「―――…私は源頼久と申します」
「…アンタ、強そうやな。オレが来てから今までずっと気張っとったやろ、警戒しとるのが分かったわ」
「…っ申し訳「謝らんでええって。当然やし。見知らぬ人間信用出来る奴はおらんさかい」……申し訳ありません」
「せやから謝るなって」
「いえ、これは貴方様の本質を見抜けなかった不甲斐ない自分の責任ですから」
「…真面目やなあ」








それからはその横にいる鷹通を見た。








「私は藤原鷹通、と申します。解らない事がありましたら聞いてください」
「おおきに。それなら今度こっちの世界の書でも読ましてもらえるか?」
「わかりました。どのようなものをお持ちしましょうか?」
「そやね…先ずは字に慣れなあかんから簡単な子ども用のでええよ」
「わかりました」









次に先程から笑みを浮かべて自分を見てくる友雅を見た。








「私は橘友雅という――…失礼だが、殿は男性で間違いないのだね?」
「なんやそれ。どっからどう見ても男、やろ」
「いえね…ふと笑った顔や真面目にしている表情がとても艶っぽかったのでね」
「……忠告しといたろ。誰にでも甘い言葉かけたらしっぺ返し喰らうで」
「ふふ…肝に銘じておくよ」










そして何やらキラキラした瞳で見てくるイノリを見た。







「俺イノリ!よろしくな!」
「よろしく、イノリ」
「おう!なあなあお前すっげー力あるんだろ?!じゃあ鬼なんて一捻りだよな!?」
「鬼?ていうかオレそないに凄い力持ってるんかなあ?自覚あらへんけど」
「なんだよー頼りねえ返事だなー」
「スマンスマン。ま、これから判るって」











最後に永泉を見た。










「私は永泉と申します」
「よろしくなぁ。…永泉っていくつ?」
「17ですが…」
「嘘、オレのが上や。落ち着いとるなあ、同い年かと思うたで」
殿はお幾つなのですか?」
「オレ19…もうちょいで20やけど」






「「「嘘ぉ!!」」」






あかね、天真、詩紋が声を上げた。





「お前俺より上なのか?同い年だと思ったぞ!?」
「わたしも…さん若く見えるよ」
「オレ童顔やさかいなー。よう言われるよ、年相応に見えんって」



笑顔のまま言っているところを見るとたいして気にしていないらしい。
こういうところは大人だ。
外見以外はきちんと年相応である。







「よっしゃ、覚えたで。頼久、鷹通、友雅、イノリ、永泉。そんで詩紋、天真、泰明やな。女の子はあかねちゃんと藤姫ちゃんやね」





オレ、馴れ馴れしいから呼び捨て嫌やったら言うてやー、とは言ったが誰も訂正しない限りは別に嫌ではないようだ。
















「今宵はもう晩うございます。お部屋をご用意いたしますので皆様お休みくださいませ」

「あ、俺姉ちゃんが心配するから帰るぜー。じゃあまた明日なー」
「それでは失礼いたします」
「おう、じゃあまた明日」

イノリ、頼久、天真以外の皆がそれぞれ宛がわれた部屋へ行く。
時刻はもう丑の刻をとうにまわっていた。































「ククク…とうとう現れたか…」



水鏡に映るの姿を見て笑う男が一人。

鬼の首領と呼ばれる男―――アクラム。




「破壊神の使いが現れたのだ。丁重に迎えねばな……蘭」
「はい」
「あれはお前のものだ…欲しくはないか?」
「……私の……?」





焦点の合わない瞳をした少女は水鏡に映る青年を見て一瞬だけ表情を変えた。





それはまるでようやく求めていたものを見つけた顔だった。

























誰か




暗闇から




哀れな娘を




連れ出して









やっぱり漫画沿いにはならない…
所々ゲーム沿いかも