達は風花の神殿の中にいた。
「じゃあ、“アップルグミ”!」
「み?えーっと…“水”!」
「ず?!え〜〜っと…シンクー“ず”ってなんかあるか?」
「何やってるわけ…?」
「「「しりとり」」」
オイオイ
「あのさあ、僕達遊びに来てるんじゃないんだけど」
「だって黙って歩いてたって暇じゃん。シンシンもやればいいのに」
「お断りだよ。、キミまで何やってるのさ」
「折角仲間との初クエストだからさー、つい…ごめん」
そう言われたら……
なんか僕が悪者みたいじゃない?
「シンク、それくらい良いじゃねえかー。クエストだろうと楽しく行こうぜー」
「そーだそーだ!」
「…ハア、もう良いよ。好きにやって。ただし少しは緊張感ってものを持ってよね」
「「「ハーイ♪」」」
やっぱ一人で来るべきだったかな…。
と、のどかな風景も束の間……
「皆さん!魔物ですの!!!」
骨の兵士、スケルトンが現れた。
「益々おかしいね。確か此処って調べじゃあ風系の魔物の巣窟だったってクラちん言ってなかった?」
「何か隠されてるってことは確定だね。ひとまず片付けるよ」
「おっし!行くぞ!」
「OK!!」
「悠遠を支えし偉大なる王よ、地に伏す愚かな贄を喰らい尽くせ!グランドダッシャー!」
「虎牙破斬!!」
「獅子戦吼!」
威力のある術で一掃するノーマ。
得意の剣技で敵をなぎ払うロイド。
見事な体術で敵を翻弄していくシンク。
「すげえ…」
は三人の戦いに見惚れていた。
その為、自分の背後に忍び寄る魔物に気がつかなかった。
「みゅっ!!さん危ないですの!」
「!!」
ミュウとロイドの声が重なった。
「…っ閃空裂破!!!」
はすぐさま反応し、背後にいたデスビーナイツ(巨大な蜂のような魔物)を倒した。
「ふう…危なかったぁ…」
「大丈夫かー?お前ボーっとしてたんじゃねえの?」
「まったく…緊張感持てって言ったばっかりなんだけど」
「ごめんごめん」
とりあえず戦闘がひと段落したところで開けた場所で一旦休憩することにした。
「ぴょん、腕出して」
「え?なんで…?」
「いいから出しなさ〜い…ほらやっぱり」
ノーマが無理矢理の腕を引っ張った瞬間が顔を顰めた。
「うげ、気づかなかった」
「掠っただけだと思うけど、敵が敵なだけに毒くらってたらまずいっしょ」
の腕に走る一本の赤い線。
そう、先程のデスビーナイツを上手く倒しただったが剣を振った瞬間少し掠めてしまったらしい。
「リザレクション!」
ノーマの回復呪文で傷がみるみる塞がっていく。
「ありがと、ノーマ」
「いいってことよ。そんかわり怪我したら早めに言ってよね」
「おう」
「ねえ、そういえばまだ聞いてなかったけどアンタ何処から来たの?」
アンタ、というのは勿論に向けて言った言葉。
唐突なシンクの質問に場の空気は固まった。
これが他の人ならこの状況で話を流すのだが、相手はシンク。
自分の気になることは聞かなければ気が済まない性質だろう。
「イクセンでは見かけない顔だったから他所から来たアドリビトムだと思ったのに、聞けば先日仲間になったって言うじゃない」
冷静なシンクはまだあまりのことを信用していないようだ。
しかし、戦いの中に身を置く者としては当然の判断と言えるだろう。
いつ、背後から襲われるか分からないのだから用心するにこしたことはない。
「オレは―――」
が口を開きかけたその時だった。
ガコン!
「っ!!」
「ノーマ!ロイド!シンク!」
なんと三人が居た場所の床だけが急に無くなったのだ。
「な、なんでだ?!」
「わからないですの!!」
「壊れたんじゃないな…。意図的に外されたとしか考えられない」
崩れたわけでもなく、ただそこだけが切り取られたように無くなった床。
どう見ても故意としか思えない。
「三人とも…同じ場所にいればいいけど」
落下地点が三人とも同じならこの穴から飛び込めるのだがこんな罠が用意してある限りあまり期待できない。
「前に進むしかなさそうだ…。待っててくれよ、三人とも」
は一人で奥へと進むことになった。